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研究者が本当に伝えたかった サカナと水辺と森と希望
日本の自然を見つめ続けてきたフォトジャーナリスト・浦壮一郎氏が、魚類の
生態や河川環境を研究する第一人者たちを取材。その過程で「放流しても魚は増えない、むしろ逆効果」、「ダムは洪水調節には不向き、単に生態系を破壊するだけ」など、これまで常識とされてきたことの多くに誤りがあり、取り組みを見直す必要があることを明らかにします。本書はそうした水辺の番人といえる専門家たちの研究成果、そして将来に向けた貴重な知見や提言を、具体的な資料もまじえてなるべくわかりやすく紹介。砂防ダム、河口堰、導水事業、海岸浸食など、日本の水辺を取り巻く問題点を浮き彫りにしていきます。釣り人はもちろん、魚に優しい水辺の未来に思いをはせるすべての人に、今なにができるのかを考えさせる一冊です。
目次
004 釣りをしながら、川と魚と環境問題について考えてみた。
007 第1章 河川における魚類の生態
008 イワナとヤマメの棲み分け、その理由は水温なのか?
渓流魚の種間競争と絶滅リスクを考える
016 「種沢」という表現は正しかった!
支流は渓流魚のゆりかご
028 支流の魚が本流に移動
「しみ出し効果」による個体数維持
039 陸生昆虫を好んで食べる魚たち
河畔林の重要性が浮き彫りに
049 ニジマスはエサに弱い?
釣りやすい魚と釣りにくい魚
062 ふ化放流によって魚が減る?
サケが教えてくれる野生魚の生命力
076 放流しても増えるとは限らない?
『全国サクラマスサミット2022』レポート
090 ヤマメ放流によって減るサクラマス
101 明らかにされてゆく「放流の逆効果」
112 「外道」なんていわないで!
アユを成長させるウグイ
121 第1章 まとめ
123 第2章 渓流の釣り場管理について考える
124 内水面漁協のリアル
144 放流だけに頼らない!
渓流魚を増やす漁場管理
155 ひとつのパンフが変える未来
「いつも魚にあえる川」が山間地域に笑顔と魚を取り戻す
171 第2章 まとめ
173 第3章 川を壊すダム
174 激甚災害! 2019年台風19号の教訓を活かす
〝安くて効果的な〟堤防は、なぜ採用されないのか?
184 貯水できたのは「たまたま空だった」おかげ
八ッ場ダムは本当に洪水から街を守ったのか?
196 約3000基のダムがあってもなくならない水害
日本の治水政策はどこで間違えたのか?
206 川の動脈瘤を引き起こす
日本のダムを考える
215 魚が移動できるだけじゃない
スリット化のメリット
224 釣り人の力で川をよみがえらせる
北海道砂防ダム・スリット化の事例
242 砂防ダムによる河床低下のメカニズム
254 砂防ダムを造り続けて130年……
この愚行、そろそろやめませんか?
264 第3章 まとめ
267 第4章 豊かな森が豊かな川をつくる
268 放置人工林問題 その一
保水力を失った林は渇水と濁流の原因
276 放置人工林問題 その二
岐阜県郡上市に学ぶ持続可能な林業のかたち
283 生きものの生息環境を守る
素晴らしき河畔林
301 魚は体高×2倍の
「維持流量」で生きられるのか?
309 貯水ダムが止めた土砂を下流に供給
「土砂還元」で生物相は豊かになる
319 日本の国土が削られる?
ダムが引き起こす海岸浸食
327 第4章 まとめ
330 研究者プロフィール
334 あとがき